スラスター

スラスターの概要

スラスターとは、宇宙機の姿勢制御や微小な軌道変更に用いられる小型の推進装置である。

スラスターは、宇宙機の細かな動きを制御するために使用される小型の推進装置です。
主に姿勢制御、軌道微調整、ドッキング操作などに用いられ、宇宙機の安定した運用に欠かせない存在です。

スラスターには、化学推進式と電気推進式の両方があり、用途や設計に応じて選定されます。
化学式では、モノプロペラント（単一の推進剤）を用いたものが一般的で、即時応答性に優れています。
電気式では、イオンスラスターやホールスラスタがあり、燃料効率が高く、長期間の運用に適しています。

技術的には、推進剤の供給系、点火・加速機構、制御システムが重要です。
特に、姿勢制御では複数のスラスターを組み合わせてトルクを発生させるため、精密な配置と制御が求められます。

スラスターは、人工衛星、探査機、宇宙ステーションなど、幅広い宇宙機に搭載されています。
例えば、国際宇宙ステーション（ISS）では、スラスターによって姿勢を維持し、軌道を調整しています。
また、探査機「はやぶさ」では、イオンスラスターによる長距離航行が実現されました。

今後は、より高効率で長寿命なスラスターの開発が進み、宇宙機の自律運用や持続可能な探査に貢献することが期待されています。