重力損失 とは?
- よみがな: じゅうりょくそんしつ
- 英語名: Gravity Loss
概要
重力損失とは、ロケットが地球から打ち上げられる際に地球の重力に逆らって上昇するために余分に必要となるエネルギーのことである。
詳細
重力損失とは、ロケットが地球から打ち上げられる際に「地球の重力に逆らって」上昇するために余分に必要となるエネルギーのことを指します。
ロケットは地球の表面から垂直方向に飛び立ちますが、その間ずっと地球の重力に引っ張られ続けることになります。
その際には、推進力の一部を「重力に打ち勝って上昇するため」に使う必要が生じます。
このエネルギーの消費を「損失」という言葉を用いて表現しているのです。
似たような状況として、重い荷物を持ちながら階段を上る場面を考えてみてください。
重い荷物を持ち上げる場合には、荷物を高い位置を保つだけでも力を使いますよね。
それを持ち上げながら上へと進むには更に大きなエネルギーが必要になります。
このように、物をより高い位置へ運ぶには、その物自体にすでにかかっている重力を支えるためのエネルギーを消費しすつける必要があるのです。
ロケットの場合も同様です。
ロケットが上昇する際に垂直に飛行する場合には、地球の重力によって引き戻される方向に力が働きます。
それを振り切って上昇するためには、より多くの燃料と推進力が必要になるのです。
ただ上昇するだけでは使わなくて良い分の燃料が必要となるため、「損失」という言葉が用いられます。
重力損失は、ロケットの打ち上げ効率に大きく影響します。
特に打ち上げ初期の段階では、飛行する方向が垂直に近いことから重力による引き戻しの影響が大きくなり、重力損失も大きくなります。
打ち上げ後しばらくすると、ロケットはできるだけ早く水平速度を得て横方向に飛行するようになります。
垂直に飛び続けるのではなく、徐々に角度を変えて地球の周りを回るような軌道に移行するのです。
こうすることで、重力損失の影響を抑えることができるようになります。
重力損失を理解することは、ロケットの設計や打ち上げ計画を考える上で非常に重要です。
ロケットを宇宙空間へと届ける上では、このようなエネルギーのロスを最小限に抑える工夫を凝らして限られた燃料をいかに効率よく使うかが鍵となるのです。
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