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宇宙開発のイメージ

中軌道

  • よみがな: ちゅうきどう
  • 英語名: Medium Earth Orbit

中軌道の概要

中軌道とは、地球低軌道と静止軌道の中間に位置する軌道領域である。


中軌道の詳細

中軌道は、地球の中心から約2,000km〜35,786kmの範囲に位置する軌道領域を指します。
この軌道は、地球低軌道(LEO)よりも高く、静止軌道(GEO)よりも低い中間的な高さにあり、さまざまな用途に適したバランスの取れた軌道として注目されています。

中軌道の代表的な利用例として、GPS(全地球測位システム)などの測位衛星が挙げられます。
これらの衛星は地球全体をカバーするために複数機が中軌道上に配置されており、安定した通信と広範囲の観測が可能です。
GPS衛星は約20,200kmの高度に配置されており、地上の受信機に対して正確な位置情報を提供するために、常に複数の衛星が同時に観測できるよう設計されています。

中軌道の利点は多岐にわたります。
まず、LEOよりも高度が高いことによりより広い地表面を観測できるため、衛星の数を抑えつつ広域サービスを展開することが可能となります。
また、GEOほど高度が高くないことにより、地上との通信遅延が比較的少なく、リアルタイム性が求められるサービスにも適しています。
さらに、軌道上のスペースデブリ(宇宙ごみ)が比較的少ないことも安全な運用を支える重要な要素です。

技術的な観点では、中軌道に衛星を投入するためには精密な誘導制御が必要です。
軌道投入後も、衛星の位置を維持するための推進装置や、地上との安定した通信を確保するための高性能なアンテナ設計が求められます。
これらの技術は、衛星の長期運用やサービス品質の維持に直結するため、設計段階から慎重な検討が必要です。

近年では、中軌道を活用した新たな衛星コンステレーション(多数の衛星によるネットワーク構築)や宇宙インフラの整備が進められています。
中軌道は、今後も通信・測位・観測など多様な分野における重要な領域として、今後もますます注目されていくことでしょう。


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