軌道傾斜角
- よみがな: きどうけいしゃかく
- 英語名: Orbital Inclination
軌道傾斜角の概要
軌道傾斜角とは、人工衛星の軌道面が地球の赤道面に対してなす角度のことである。
軌道傾斜角の詳細
軌道傾斜角とは、人工衛星の軌道が地球の赤道に対してどれだけ傾いているかを示す角度のことです。
この角度は、衛星が地球上のどの地域を通過し、どの範囲を観測・通信できるかを決定する重要なパラメータです。
軌道傾斜角は0度から180度の範囲で表され、衛星の軌道の性質を理解する上で欠かせない指標となっています。
軌道力学においては、軌道の形状を決定する「軌道要素」のうちの1つとして有名です。
軌道傾斜角は大文字のIを用いて表される変数となっており、軌道設計をする上で重要なパラメータなのです。
たとえば、軌道傾斜角が0度の場合、衛星は地球の赤道上を周回する「赤道軌道」に乗っていることになります。
この軌道では、赤道付近の地域を中心に観測や通信が行われるほか、静止軌道も基本的に軌道傾斜角が0度となります。
一方、軌道傾斜角が90度の場合、衛星は地球の北極と南極を通過する「極軌道」に乗っていることになります。
この場合、地球全体を均等にカバーすることが可能です。
実際に多数の地球観測衛星がこの軌道を採用しています。
軌道傾斜角は、衛星の観測範囲だけでなく、通信可能な地域にも影響を与えます。
たとえば、通信衛星が特定の地域にサービスを提供する場合、その地域を頻繁に通過するように軌道傾斜角を決定することになります。
また、軌道傾斜角はロケット打ち上げの際にも重要なパラメータとして扱われます。
決定された角度によってロケットの打ち上げ方向も決まり、打ち上げに必要なエネルギーやコストにも関係してくるのです。
このように、軌道傾斜角は衛星の運用において非常に重要な要素であり、ミッションの目的や観測対象、打ち上げ場所などに応じて最適な角度が選定されます。
衛星軌道の設計においては、軌道傾斜角を含む複数のパラメータを総合的に考慮することで、効率的かつ効果的な宇宙利用が可能となるのです。
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