メインコンテンツまでスキップ
宇宙開発のイメージ

「宇宙は無重力ではない」とはどういうこと?

「宇宙は無重力だ」とよく言われますが、これ本当に正しいのでしょうか?
このページでは、「なぜ宇宙にいても落ちないのか?」「なぜ無重力のように感じるのか?」といった疑問を、基礎から丁寧に解説します。


結論:宇宙は重力があるが、それを感じない「微小重力状態」にあるだけ!

実際に宇宙空間にも重力は存在しています。
しかし、宇宙にいる物体は高速で飛行するため、重力によって「落ち続ける」ことになります。
その状況においては、あたかも重力がないように感じられるのです。


そもそも重力 とは?

重力とは、質量を持つ物体同士が互いに引き合う力のことです。
私たちは常に地球の中心方向に引っ張られており、それが「体重」として感じられるというのはご存知でしょう。
地球上ではこの力の働きをどこにいても感じることができます。

重力についての詳しい説明についてはこちら


では実際に宇宙に行くと重力はどうなる?

宇宙に行っても重力が消えることはありません。
宇宙空間にも確かに重力は存在し、地球の引力は国際宇宙ステーション(ISS)のような低軌道でもしっかり作用しています。

その一方で、宇宙飛行士が宇宙船の中でぷかぷかと浮いている姿は見たことがありますよね?
重力が働かないわけではないのに、浮いていられるのはなぜか。

それは、宇宙飛行士が地球に向かって常に落ち続けている状態にあるからなのです。
たとえば、国際宇宙ステーションは毎秒約7.7kmのスピードで地球を周回しています。
すると、宇宙飛行士が地球に向かって落ち続けても、地球に到達することはありません。
この時落ちるスピードが一定なので、ずっと浮いているように感じられるのです。

国際宇宙ステーションについての詳しい説明についてはこちら


見方を変えると?

ここまでは「地球目線」の話でした。
つまり、「地球から見た時に」宇宙飛行士は落ち続けているというわけです。

では宇宙飛行士や人工衛星の目線で見るとどうでしょう?
この時、地球に引っ張られる力である重力は確かに存在していますが、
それとは逆向きに地球の周りを高速で動くことによって発生する遠心力**が発生します。

この二つの力が釣り合うため、見かけ上は力がかかっていないように見えます。
この状態こそが「無重力状態」なのです。

無重力状態についての詳しい説明についてはこちら


無重力状態はどんな環境?

厳密には「無重力」ではなく、「微小重力(microgravity)」と呼ばれる状態です。
これは重力の影響がゼロではないものの、非常に小さいため体感としてはほぼ無重力に近い状態を意味します。
微小重力下では、物体は空中に浮いたままになるだけでなく、水や炎の振る舞いも地上とは大きく異なります。
この特殊な環境は、地上とは全く異なるものなのです。


無重力状態は役に立つ!

微小重力状態は、医学・材料科学・生物学などの研究に非常に有用です。
たとえば、タンパク質結晶の成長実験では、地上では得られない高品質な結晶が形成されます。
また、人間の体が重力なしでどのように変化するのかを調べることで、長期宇宙滞在への備えや地上医療への応用が期待されています。
地球では不可能な現象を観測するための「天然の実験場」として、宇宙の無重力環境は活用されています。

微小重力についての詳しい説明についてはこちら


もっと無重力状態について知りたい人へ

信頼できるページの記事を読むことで、無重力についてより深く理解することができます。

こちらのページでは、無重力環境での生活についての説明がなされています。

また、こちらのページでは微小重力を活かした研究についての解説がなされています。

また、宇宙開発用語集でも、重力や無重力に関する様々な用語を解説しています。 詳細は以下の関連用語のページから見てみてください。

宇宙環境に関する用語の意味の一覧はこちら


まとめ

  • 宇宙は厳密には「無重力」ではなく、「無重力状態」である
  • 宇宙飛行士は地球に向かって落下し続けているため、重力を感じない
  • 微小重力環境は、地上ではできない研究や開発に大きなメリットがある

🚀 宇宙開発ナビでは、宇宙に関する疑問にわかりやすく答える記事を随時更新しています。
今後も宇宙についてもっと知りたい方は、ぜひブックマークをお願いします!


宇宙開発用語集のおすすめページ


宇宙開発ナビのおすすめページ


宇宙開発ナビ

宇宙開発ってなに?
学びの出発点

宇宙開発用語集

宇宙に関する用語を
体系的に整理

宇宙開発ガイド

背景から丁寧に学ぶ
最新の宇宙開発像