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宇宙開発のイメージ

探査機の速度 とは?

探査機の「速度」は、宇宙探査において非常に重要な概念です。

しかし、地球上の感覚とは大きく異なるため、十分に理解されていないことも少なくありません。

このページでは、探査機の速度について、「どこを基準にするか」によって意味が変わることを中心に、基礎から丁寧に整理していきます。


結論:探査機の速度は「基準」によってまったく違って見える!

探査機は、地球を離れて太陽系のさまざまな天体へ向かうため、非常に高速で移動しています。
しかし、その「速度」は、何を基準にするかによってまったく異なる値になります。

たとえば、太陽を基準にすれば秒速数十km/sという高速で飛んでいるように見えますが、
目標の天体や地球との相対速度で見ると、接近時には秒速数km/s〜数十km/sの差が生じることもあります。


そもそも探査機の速度 とは?

探査機の速度には、主に以下の2つの見方があります。

  • 太陽を基準とした速度(公転速度)
    これは、探査機が太陽の周りをどれくらいの速さで回っているかを示します。
    地球の重力を脱出した探査機は、地球や火星などの惑星と同じように太陽の重力に引かれて公転することになるのです。

  • 地球や目標天体との相対速度
    一方で地球や目標天体との相対速度とは、探査機がそれらの天体に対してどれくらいの速さで近づいたり離れたりしているかを示します。
    これは、接近・着陸・観測などの運用において非常に重要な指標です。

宇宙機の速度に関する全般的な話についてはこちら


太陽を基準とした探査機の速度はどれぐらい?

探査機は、地球を出発した後、太陽の重力に従って軌道を描きながら移動します。
このときの速度は、太陽を中心とした「公転速度」として表されます。

具体的には以下のようになります。

  • 地球の太陽に対する公転速度は秒速で約30km/s
  • 地球を脱出したばかりの宇宙探査機も概ね秒速30km/sほどとなる
  • 深宇宙探査機ボイジャーは、を太陽に対して秒速17km/s以上で太陽系外縁を飛行している

基本的には太陽に近いほど公転速度は大きくなります。

速度と距離の関係は人工衛星の速度に関するページで詳しく説明しています


では地球・目標天体との相対速度は?

探査機の運用では、地球や目標天体との「相対速度」が特に重要です。
たとえば、火星に向かう探査機は、火星に対する速度を考えた上でその速度を調整する必要があります。

具体的な例として、小惑星探査機はやぶさ2について考えてみましょう。

  • 2018年に小惑星リュウグウに到達した後は、リュウグウに対して秒速数m/sで位置をキープし続けた
  • 2021年に地球にサンプルを届けた際には、秒速数km/sという相対速度で地球近傍を通過した
  • 2026年には小惑星トリフネへのフライバイ探査を予定しているが、その際にはトリフネに対して秒速数km/sという速度で通過する予定

このように、探査機の速度を考える上では、
「どこに向かっているか」「どのような運用をするか」を考えることが重要なのです︎。

小惑星探査機はやぶさ2についての詳しい説明はこちら


もっと探査機の速度について知りたい人へ

信頼できる情報源を読むことで、探査機の速度についてさらに深く理解することができます。

こちらのページでは、将来打ち上げ予定の彗星探査機についての解説がなされています。
相対速度の目安は10~70km/sと紹介されており、非常に高速であることがわかりますね。

また、「人類史上最も速い物体」についての紹介について読むことで、その速さのイメージを膨らませるのも良いでしょう。

はやぶさ2については、次の記事を読むと理解がさらに進むでしょう。

また、宇宙開発用語集でも、宇宙探査機に関する様々な用語を解説しています。
詳細は以下の関連用語のページから見てみてください。

探査機に関する用語の意味の一覧はこちら


まとめ

  • 探査機の速度は「太陽を基準にした速度」と「地球・目標天体との相対速度」の両方がある
  • 太陽に対しては秒速30km/s前後で公転している
  • 目標天体との相対速度は、運用に応じて秒速数m〜数十kmまで幅広い
  • 速度の見方によって、探査機の動きの理解が大きく変わる

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