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宇宙開発のイメージ

人工衛星や宇宙探査機の通信のタイムラグ とは?

通信遅延(タイムラグ)は、宇宙開発において非常に重要な概念です。
しかし、私たちが日常生活で遭遇する「通信遅延」とは発生するメカニズムが異なるため、イメージしにくいかもしれません。
このページでは、人工衛星や宇宙探査機との通信において発生する「タイムラグ」について、基礎から丁寧に整理していきます。


結論:光の速さと比べて宇宙は広すぎる!

宇宙機の通信遅延という話が出てくる時、その最大の原因は宇宙の広大さにあります。
電波は光と同じ速度(秒速約30万km/s)で進みますが、それと比較しても宇宙空間があまりにも広いすぎるため、通信に数秒〜数時間の遅れが生じることがあります。
つまり、「光の速さでも間に合わない」ほど宇宙は広いのです。


そもそも通信速度 とは?

通信速度とは、情報が送信元から受信先に届くまでの速さを指します。
地上のインターネット通信では、光ファイバーや電波を使って情報が伝えられます。
地球上での情報経路の長さを考える時に重要なポイントは、「地球の外周の長さが長くても約4万km」であるということです。
この長さが光が1秒に進む長さの数分の一であるため、地上の通信においては高速な通信が可能となります。


では宇宙で通信にタイムラグが発生する理由 とは?

一方で、宇宙空間では通信を行う2者の間の距離が桁違いに長くなります。
例えば、地球から月までの距離は約38万km、火星までの距離は(時期にもよりますが)だいたい約数億kmにもなります。 これらの長さと光が1秒に進む長さ(約30万km/s)を比較すると、宇宙がいかに広いかについてをイメージできるでしょうか?
すなわち、この広さがゆえに電波がなかなか届かず、通信遅延が発生してしまうのです。
どれだけ頑張っても通信にタイムラグが発生することを防ぐのは物理的に不可能なのです。

技術的に厳密な話をすると、この他にも通信遅延を発生させる要因として中継機器の処理時間の長さなどがあるのですが、 「宇宙機でタイムラグが生じるのは何故か?」という問いに対しては、宇宙の広さと光速の関係について言及するのが適切な回答であると言えます。

通信遅延についての詳しい説明はこちら


実際にどれぐらいのタイムラグが生じる?

通信遅延の具体例を見てみましょう。

  • 月:地球から約1.3秒の遅延(往復で約2.6秒)
  • 火星・小惑星:火星との通信は平均で片道約12.5分、最大で約22分にもなります
  • ボイジャー探査機:現在太陽系の外縁を飛行中で、通信には片道約20時間以上かかります

このように、距離が遠くなるほどタイムラグは大きくなり、リアルタイムの操作は困難になります。


通信遅延を前提にしたシステム設計

このような通信遅延が発生するため、宇宙探査では通信遅延が存在することを前提に様々なシステムが設計されます。
たとえば、宇宙探査機は地球からの指示を待たずに自律的に判断して行動するように設計されています。
特に、リアルタイムでの操作が必要な場面では地球の判断を待たずに動作するようになっているのです。
また、万が一異常事態が発生した際には、自動的に安全な状態をキープするような仕組みにもなっています。 このような工夫により、通信遅延による影響を最小限に抑えています。


もっと宇宙での通信について知りたい人へ

信頼できるページの記事を読むことで、宇宙での通信についてより深く理解することができます。

こちらの記事では、地球上の通信と宇宙を介した通信の比較についての話題がビジネスの観点も含めて紹介されています。

また、こちらではこれからの時代の宇宙での通信のあり方についての解説について見ることができます。

さらに、実際に通信遅延を前提にしたシステムの例として、小惑星探査機はやぶさ2の自律システムについて紹介しておきます。

また、宇宙開発用語集でも、宇宙での通信に関する様々な用語を解説しています。 詳細は以下の関連用語のページから見てみてください。

通信に関する用語の意味の一覧はこちら


まとめ

  • 宇宙での通信には「タイムラグ」が必ず発生する
  • 通信遅延の原因は主に宇宙の広さと光速の限界
  • 宇宙探査機は通信遅延が発生することを前提に、自律的に動作するように設計されている

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