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宇宙開発のイメージ

熱制御 とは?

  • よみがな: ねつせいぎょ
  • 英語名: Thermal Control

概要

熱制御とは、宇宙機内部の温度を適切に保つための技術であり、宇宙環境における機器の安定動作に不可欠な要素である。


詳細

熱制御とは、宇宙機内部の温度を適切に保つために、各機器に入ってくる熱と各機器から出ていく熱の両方をコントロールすること、およびそれを実現するための技術のことを指します。
宇宙機が極端な温度環境にさらされる中で、内部の機器や乗員の安全を確保するために必要な技術です。

皆さんは宇宙空間の温度についてどのようなイメージを持っているでしょうか?
太陽が当たっているからとても熱い?
逆にずっと陰になっている部分は寒い?
人によってその印象は様々でしょう。

宇宙に物を送り込む時にまず考えるべきポイントは、宇宙空間が真空であるということです。
私たちが普段地球にいる際には、熱が空気を伝わることによって物体の温度が上がったり下がったりします。
熱いお湯が冷たい空気に触れることで冷めていったり、逆に冷たい氷が温かい空気に触れてとけていったりしますよね?
しかしながら、宇宙空間にはほとんど空気がありません。
そのため、熱の逃げ場がなくなってしまうのです。

では宇宙において熱のやり取りはどのようになされるのでしょうか?
それが「放射」と呼ばれる現象です。
宇宙では熱が光(電磁波)を通じて伝わります。
地球にいる皆さんも、太陽の光が当たると温かく感じられますよね?
それと同じ現象が宇宙においても起こっているのです。

宇宙空間では、太陽光による加熱の影響が非常に大きくなります。
例えば人工衛星のある面に太陽の光が当たると、放射によって熱が溜まっていくのです。
しかし、宇宙には熱の逃げ場がありません。そのため、太陽の光が当たっている部分が非常に熱くなってしまうのです。
逆に、太陽の光が当たらない場所には、熱が入ってきません。
そのため、影の部分での急激な冷却が起こってしまうのです。

このことは人工衛星や宇宙探査機の温度管理を行う上で非常に重要です。
宇宙機に搭載されている各機器について、正常に動作することができる温度の範囲は決まっています。
そのため、各機器の温度がある温度範囲の中に必ず留まる必要があるのです。
しかし、太陽光の当たっている面とそうでない面では熱環境が大きく変わってきてしまいます。

そこで登場するのが「熱制御」です。
人工衛星や宇宙探査機などの宇宙機の各面における熱の出入りを調整することで、各機器の温度管理を行うのが熱制御ということになります。
例えば、太陽光が当たる面に「断熱材」と呼ばれる素材を張ることで、熱が入ってきて温度が上がるのを防ぐ技術があります。
また、先ほど紹介した「放射」という現象を用いて逆に宇宙機から光(電磁波)を通じて熱を逃す「放熱板」という素材を用いて、宇宙機の温度を下げる技術もあります。

この他にも、ヒーター、ラジエーター、熱パイプなどといった「宇宙機の内部で熱をやりとりして温度調整をする」機器もあります。
これらを宇宙機の設計に組み込むことで、各機器の温度管理を適切に行いミッションを実現することができるのです。


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