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宇宙開発のイメージ

フライバイ

  • よみがな: ふらいばい
  • 英語名: Flyby

フライバイの概要

フライバイとは、探査機が天体の近くを通過しながら目標天体の観測を行う手法である。


フライバイの詳細

フライバイとは、宇宙探査機が惑星や衛星などの天体の近くを通過しながらその天体を観測する探査手法のことを指します。
探査機は目標天体に接近するものの着陸したり軌道に投入されたりすることはなく、通過しながら観測を行います。
この手法は、これまでも宇宙探査において重要な役割を果たしてきました。

フライバイの最大の特徴は、天体への直接着陸や軌道投入を行わない点にあります。
これにより探査機は燃料や時間の節約が可能となり、ミッションの柔軟性を高めることができます。
特に複数の天体を順に観測するようなミッションでは、フライバイの柔軟性が大きな利点となります。
探査機が目標天体近傍を通過する際の角度や速度を調整することにより、次の観測対象へと移行する軌道を描くことができるようになります。 すなわち、フライバイは効率的な探査を可能にする手法でもあるということです。

ただし、フライバイには制約もあります。
というのも、探査機は目標天体の近くを高速で通過するため、観測できる時間が非常に短くなってしまうのです。
この短時間で有効なデータを取得するためには、事前の精密な軌道設計とタイミング調整が不可欠です。
また、高速で通り過ぎる際に誘導航法を精密に行うことは容易ではありません。
目標天体の近くを通ること自体は容易なかわりに、近づいた際に観測するのは難しい、というのがフライバイ探査の特殊な点であると言えるでしょう。

フライバイと似た言葉に「スイングバイ」があります。
この2つの言葉は似ているようですが、厳密には違いがあります。 スイングバイは、探査機が惑星などの天体の重力を利用して自身の軌道を変化させる航行手法です。
重力を利用して加速や方向転換を行うことにより、少ない燃料でより遠くの目的地へ到達することが可能になります。
一方、フライバイはより広い意味を持ち、重力利用の有無にかかわらず、天体の近傍を通過して観測を行う手法全般を指します。

フライバイによって得られる科学データは多岐にわたります。
天体の表面の光学観測だけでなく、大気の組成、磁場の構造、放射線環境など、さまざまな情報が収集されます。
これらのデータは、天体の形成過程や内部構造、さらには太陽系全体の進化を理解する上で貴重な手がかりとなります。

これまでにも、ボイジャー探査機やニュー・ホライズンズなど、多くの探査機がフライバイを活用して重要な成果を上げてきました。
今後も技術の進歩とともにより多くのフライバイ探査が実施されてることが見込まれており、宇宙の謎に迫る手段としてますます注目が集まっていくことでしょう。


以下のページでも「フライバイ」が紹介されています

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