テレメトリ
- よみがな: てれめとり
- 英語名: Telemetry
テレメトリの概要
テレメトリとは、遠隔地にある機器の状態や計測データを送信する技術のことである。
テレメトリの詳細
テレメトリとは、宇宙機から得られる温度、電圧、位置、速度、姿勢などの各種データを、地上局へ送信するシステムのことです。
これによって、地上の運用者は宇宙機が今どのような状態にあるのかをリアルタイムまたは定期的に把握することが可能となります。
宇宙空間では直接人が確認することができないため、テレメトリは宇宙機の「健康診断」のような役割を果たしていると言えるでしょう。
テレメトリは、地上から送信される「コマンド」と組み合わせることで、宇宙機の運用を支える重要な技術となります。
運用者は、宇宙機に対してコマンドを送信することによって、宇宙機の姿勢を変更したり観測機器を動かしたりします。
その結果として宇宙機がどのように反応したか、あるいはその操作が正常に行われたかを確認するために、テレメトリが必要となるのです。
このように、テレメトリとコマンドは常にセットで運用され、宇宙機の監視と制御の根幹をなしています。
地球低軌道(LEO)にある衛星の場合、地上局との通信機会が比較的多いため頻繁にテレメトリデータをやり取りすることが可能です。
しかし、火星探査機や外惑星探査機などの深宇宙ミッションでは、通信距離が非常に長くなるため信号の往復に数分から数十時間かかることもあります。
また、探査機の位置が遠方になればなるほど一度に送受信できるデータ量が限られてしまいます。
そのため、限られた通信機会の中でどのデータを優先的に取得するか、どのように圧縮・整理して送るかといった工夫が不可欠です。
こうした制約の中でもテレメトリはミッションの成功に欠かせない存在です。
たとえば、探査機が予期せぬトラブルに見舞われた場合でも、テレメトリによってその兆候を早期に察知することができれば地上からの対応を迅速に行うことができます。
また、長期ミッションでは、定期的なテレメトリの蓄積によって宇宙機の経年劣化や環境変化への適応状況を分析することも可能です。
テレメトリは、宇宙機の状態を「可視化」するための不可欠な技術であり、宇宙開発の現場ではなくてはならない存在です。
その精度と信頼性が、宇宙ミッションの成功を左右すると言っても過言ではないでしょう。
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