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宇宙開発のイメージ

軌道上サービス

  • よみがな: きどうじょうさーびす
  • 英語名: On-Orbit Service

軌道上サービスの概要

軌道上サービスとは、宇宙空間で運用中の人工衛星や宇宙機に対して行われる点検、修理、補給、延命などの支援活動である。


軌道上サービスの詳細

軌道上サービスとは、地球周回軌道上にある人工衛星や宇宙機に対して、ロボットや有人機を用いて保守・支援を行う技術のことです。
従来の宇宙開発において、人工衛星は一度打ち上げられると故障や燃料切れが起きても修理や補給ができず、寿命を迎えるとそのまま宇宙ごみとなってしまうのが一般的でした。
しかし近年、宇宙技術の進歩により軌道上で作業を実施することが現実のものとなりつつあり、衛星の維持管理や延命が可能になる新たな時代が始まろうとしています。

考えられるサービスとしては、燃料補給、姿勢制御装置の修理、太陽電池パネルの展開補助、寿命延長のためのモジュール追加などが挙げられます。
このようなサービスが実現されれば、衛星の運用期間を延ばすことが可能となり、打ち上げコストの削減や宇宙ごみの削減にもつながります。

軌道上サービスにはさまざまな形態があります。
たとえば、燃料補給によって衛星の軌道制御能力を回復させたり、姿勢制御装置の修理によって通信や観測の精度を維持したりすることが可能です。
また、太陽電池パネルの展開補助や寿命延長のための新しいモジュールの追加なども考えられており、これらのサービスによって衛星の運用期間を大幅に延ばすことができます。
結果として、衛星の再打ち上げにかかる莫大なコストを削減できるほか、不要となった衛星を軌道上で再利用することで宇宙ごみの発生を抑制することも可能となります。

実際に、軌道上サービスの実証例も増えています。
NASAが実施した「ミッション・エクステンダー」では、既存の衛星にサービスモジュールをドッキングさせ、機能を延命することに成功しました。
また、民間企業によるロボットアームを搭載したサービス衛星の開発も進んでおり、遠隔操作によって精密な作業を行う技術が確立されつつあります。
これらの取り組みは、宇宙空間でのメンテナンスや支援が現実的な選択肢となることを示しています。

さらに将来的には、軌道上サービスの応用範囲が広がることが期待されています。
たとえば、宇宙望遠鏡のアップグレードや、軌道上での大型構造物の組み立て・製造など、より高度な作業への展開が視野に入っています。
これにより宇宙空間での活動がより柔軟かつ持続可能なものとなっていくことでしょう。 そうした動きは、月面基地建設や火星有人探査などといった地球周回軌道以外において行われる大型ミッションにも大きく影響を及ぼす可能性が高いです。

軌道上サービスは、宇宙インフラの維持と持続可能な宇宙利用を支える重要な技術として、今後ますます注目されていくことになる分野です。
宇宙空間での「修理」「補給」「再利用」が可能になることで、宇宙開発のあり方そのものが大きく変わっていくことでしょう。


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